任意売却誤解されやすい部分と業者選びの3つのポイント

諸般の事情がお有りで住宅ローン返済を滞納、自宅の任意売却をご検討されているのでしょう。任意売却を選びたいけれど「内容や流れが分からない」「銀行の言いなりでいいのか」「もっと寄り添ってくれる業者は無いのか?」、こんな状況ではと推察します。

そこで、「競売を避ける任意売却」の全容と「誤解されやすい部分」を解説、併せて、任意売却の成立に最重要な「業者選びの3つのポイント」をご紹介します。

 

住宅ローン返済の滞納から競売までの流れ

住宅ローン返済の滞納が続くと何が起こるか、時系列に分けてみましたので確認しましょう。

 

住宅ローン返済の滞納1~3ヵ月

この段階では、支払いを催促する「催告書」や「督促状」が債務者の手元に届きますが、競売へ移行される事はありません。しかし、滞納1回目の翌日から年利14.6%の損害遅延金が加算されてしまいます。

金融機関は、信用情報機関へ事故情報(住宅ローン返済の滞納)を報告しなければならない義務があります。そのため、一般的には3回目の支払いが延滞した時点で、信用情報機関に事故情報が登録されることになるのです。つまり、債務者がブラックリストに載るとは、これを指しています。

 

住宅ローン返済の滞納4~6ヵ月

この時期になると金融機関は「期限の利益喪失」という名目で、住宅ローンの一括返済を請求してきます。それが不可能なら債権を保証している保証会社は、ローン契約者に代わり金融機関へ代理弁済を行うことになるでしょう。ですが、債権者が保証会社に代わるだけで、債務者の支払い義務は当然残ります。

滞納が6ヵ月を過ぎると保証会社は、裁判所へ競売の申し立てを行い、その後「競売開始決定通知」が手元に届くことになります。このように、競売が決定されるまでの猶予期間は6~7ヵ月程度と認識しておきましょう。

 

競売と任意売却の違いを比較

強制的に担保物件を売却する競売と、残債がある不動産を売却する任意売却の違いを比較したのが次の表です。

項目 競売 任意売却
当人の意思 全く反映されない 債権者の合意を得れば通常の不動産売買として、所有者の意思で進められる
売却価格 相場の約60~70%程度の価格 相場に近い価格の売却が多い
手出し費用 引っ越し代金が掛かる 掛からない場合がほとんど
プライバシー 執行官や鑑定士が出入りし、ネットや新聞に写真まで掲載され近所を始め衆人に知れ渡る 通常の不動産売却として進むため事情は知られない、購入希望者が内覧の際に近所へ伝える場合がある
残債 売却額が低いうえに負担する競売申立て費用が膨大(80~200万円*注1)で、任意売却に比べ数段に多く残る、また管理費や税金の滞納も残る 売却価格が競売より高く、諸費用も競売申立て費用ほどは掛からない為、競売より数段に少ない、また修繕積立金や税金の滞納も相殺される場合が多い
残債の返済 一括返済を求められる 無理のない範囲(10,000~20,000円/月)で分割返済が可能
引っ越し費用 出ない 出る場合が多い
引っ越し時期 落札者の都合で決まる 購入者と相談できる
そのまま住める 住めない 住み続けることも可能
期限 滞納から6~7ヵ月 競売開札期日の前日まで

*注1、引用:裁判所ホームページ

 

任意売却の手順

住宅ローン返済の滞納が3ヵ月続くと金融機関から「期限の利益喪失通知」が、同時に保証会社から「代位弁済通知」が手元に届くと先述しました。もうこの段階になったら、任意売却を決断すべきです。

任意売却の手順は次の通りです。

  1. 任意売却を依頼する不動産会社を探し物件の査定を依頼
  2. 金融機関に査定書を提示し相談、承認を得れば任意売却を始める
  3. 不動産会社と不動産売却の媒介契約を締結、売却活動に入る
  4. 購入希望者の内見に協力し、契約交渉にも協力する
  5. 売買条件が整ったら不動産売買契約を締結し引き渡して完了

 

任意売却の勘違いや誤解されやすい部分

任意売却にまつわる勘違いや誤解で、暫く考えてみる、競売を選ぶ、などに陥らないように注意しましょう。例えば、「任意売却するとブラックリストに載ってしまう」と聞いて躊躇した、決断できず競売になってしまったなどです。

任意売却が原因ではなく、住宅ローン返済の滞納によりそうなる訳なんですが、精神的疲労も相まって惑わされてしまうのでしょう。機会を逃してはなりませんので、任意売却にまつわる勘違いや誤解を理解しておいてください。

 

任意売却すると自己破産することになる

これも勘違いです。もともと任意売却とは自己破産手続きでの自宅処分方法であったため、司法書士や弁護士の多くは、残債をなくすために自己破産を提案してきました。自己破産するかどうかは自分で決めるもので、任意売却とは切り離して検討することです。

また、「収入が全くない」「残債は払いたくない」といった理由で、自己破産を選択する方も多くいます。そんな事から、任意売却=自己破産とのイメージが広がり、誤解を生むようになったと理解しましょう。

 

任意売却すると妻や子までに借金が残る

これもよく言われますが誤解です。債務者が生存している限り、その借金は妻や子に残ることはありません。

住宅ローンの残債は、「債務者本人」「連帯保証人」「相続人」以外には請求できないことになっています。たとえ、債務者の住宅を使用し生計を共にしている家族であっても、請求することは出来ないのです。

 

任意売却すると勤務先から解雇されてしまう

これもよく耳にしますが誤解です。任意売却の情報は当事者間のみの所有となり、また、ブラックリストの確認ができるのは金融機関のみです。そのため、情報が他人に広まることはありません。

一方、競売情報は、裁判所の掲示場の公告書やインターネットサイト(BIT)などで知ることができます。また、現場調査も頻繁ですので衆人に広まりやすい傾向があります。
もし仮に任意売却が勤務先に知れたとしても、任意売却は解雇事由ではありませんので、それを理由に解雇することはできません。

 

任意売却業者を選ぶときに知っておきたい3つのポイント

まず、任意売却は「必ず成立する」とは限らないことを覚えておきましょう。というのは、最初に利害関係者全員の合意が必要となり、次に販売活動を、最後に売り手と買い手の合意形成を完了させて売買となります。それらを、限られた時間内で成立させなければならない難易度の高い案件だからです。

そのため、任意売却を完遂させる可能性が高くなる、生活再建の可能性にも期待できる、そんな不動産会社を選ぶことが重要です。それを見極めるのため、業者選びの3つのポイントを解説します。

 

1. 任意売却を得意とする不動産会社を選ぶ

任意売却を成立させるコツは、業者選びと言っても過言ではありません。任意売却の実績が百件以上あるような販売力があり、ノウハウを培った不動産会社を選びことをおすすめします。
任意売却を得意とする業者は、金融機関と売却金額などについての協議・調整がスムーズに運ぶでしょう。なぜなら、司法書士などへ任意売却の進捗について、補助する技量と能力が高いという特徴があるからです。

意外なことに、任意売却を扱う不動産会社には特別な免許や認可は必要ないのです。中には任意売却専門と名乗る会社も散見しますが、普通の不動産会社に何ら変わりはありませんので。
それでも専門的な会社に依頼する事をお勧めします。
会社選びには注意しましょう。

 

2. 任意売却には司法書士、弁護士など専門家との連携が必須

任意売却は時間との闘い、専門家たちが迅速に連携することが成功への近道です。が一般の不動産売買とは違い「債務者と債権者との調整」「抵当権抹消登記」や「差し押さえの解除」など、様々な専門知識と能力が任意売却には求められます。

これらに加えて、自己破産を選択する場合などは「弁護士や司法書士」「税理士」などの専門家の力を借りることになり、各専門家と一体化し業務進行ができる不動産会社を選びましょう。

 

3. 任意売却のゴールは生活再建、指南まで!

債務者は残債務の返済を軽減し、収入と生活に見合った、無理のない返済計画のアドバイスが欲しいのではないでしょうか。任意売却は債務処理の手段の1つで、債務者が求めるゴールは「無理のない残債返済」と「生活再建」のはずです。

相談者の実情をよく理解して、実例から具体策を指南してくれる、そんな親身に対応してくれる不動産会社も存在します。その見極めには、「窓口の対応」「ホームページの内容」などを判断基準とすると良いでしょう。

まず、問い合わせフォームからメール、問い合わせ先へ電話で相談してみて下さい。対応時の反応はどうか、親身に話を聞いてくれているか、しっかりと見極めましょう。具体的なためになるアドバイスを、メールや電話上でもらえるかが重要な判断ポイントです。そうでなければ、候補から外してもかまいません。

 

まとめ

銀行は住宅ローン返済の滞納者には事務的に粛々と競売手続きを進める、そう思っている方が多くいます。ですが、現在では任意売却の銀行承認は、意外とスムーズに運ぶ傾向にあります。

貸し手の立場から見ると、貸したお金が全額回収できるわけでもなく、手間や経費が多くかかる競売の選択肢は望ましいものではありません。債務者はもちろん、債権者にとっても競売は避け、本音は残債が少ない任意売却を選びたい訳です。

銀行の承認のもと任意売却をスムーズに進める、トラブルを未然に防ぐためにも、ここで紹介したポイントを確認しながら、任意売却を得意とする不動産会社に依頼しましょう。

 

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任意売却の体験談 : 住宅ローンに困った私が、解決に至るまで

 

 

不動産の専​​門家

Ogawa.san

現役で不動産会社を経営しています。不動産の任意売却における長年のノウハウを持っています。住宅ローン滞納の悩みがある場合は悩まずにお問い合わせください!任意売却を重点に、ブログを運営しています。